「4つの環境」を整える不妊治療
『アイブイエフ詠田クリニック』の特徴ともいえるのが、4つの重要な環境を整えていくことで、妊娠という結果に導く治療コンセプトです。
ホルモン環境
妊娠成立のためには、ホルモンの環境はとても重要です。女性は、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)という2種類のホルモンを持っています。エストロゲンは、月経から排卵までに増え、妊娠・出産に向けた体づくりを行うホルモン。プロゲステロンは、排卵後に卵巣で作られるホルモンで、胚の着床や妊娠維持に重要なホルモンです。月経不順(無月経・無排卵周期症・黄体機能不全症)の方は、エストロゲンやプロゲステロンの分泌環境が乱れた状態なのです。
妊娠に向けた体づくりのために、まずはホルモンを測定し、排卵誘発剤を用いて最適なホルモン環境に整えていきます。バランスの良いホルモン環境は、不妊症の原因となる子宮内膜症・子宮腺筋症・子宮筋腫・骨盤内感染の発生の予防にもなります。正常な月経周期を作り、基礎体温を正常化し、十分なプロゲステロンの分泌を促すことは、不妊症を予防する重要な鍵になるのです。
また、ストレスもホルモンの分泌環境を乱します。強いストレスを感じる前に、小さな悩みを相談することも、ホルモンバランスには重要です。
卵巣の環境
詠田院長のライフワークとなっている研究テーマが、「卵巣血流」です。血液は栄養や酸素を卵子に運ぶ役目を担っています。卵巣の血流低下は、卵のクオリティを低下させる重要な因子です。われわれの研究によって、加齢、卵巣手術や子宮内膜症による卵巣周囲の癒着、卵巣嚢腫(のうしゅ)や多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)などが卵巣血流を変化させている状態は、卵のクオリティを低下させる重要な因子であることを解明しています(2002年10月日本受精着床学会シンポジウム発表)。体外受精を繰り返しても、この問題は解決しません。
妊娠という結果を得るために、もっとも重要なのはクオリティの良い卵子を得ることです。
患者様一人ひとりの身体の環境を診て、卵巣血流の低下を起こすような要因の排除に心がけ、個々に適した排卵誘発法を選択します。エストロゲンやプロゲステロンの変化を詳細に見ながら、一個でも多くのクオリティの良い卵子を採取し、培養環境で卵子のクオリティを低下させることなく、確実な妊娠の結果に結びつくことができるよう診療しています。
着床の環境
卵子が着床する子宮環境も、やはり妊娠成立に重要な因子です。着床には、子宮の形態と子宮の内部環境が関係します。
子宮の形態の診断は、内診・超音波検査・3D超音波検査・子宮卵管造影・子宮鏡検査などを用いて行います。子宮腺筋症や子宮筋腫は子宮運動性を変化させるため、着床障害や流産の原因になります。患者様それぞれの状態に合わせて、薬物療法や手術療法を選択します。
子宮の内部環境には、子宮内の免疫・細菌叢など多くの要因が関与します。採血検査や子宮内腔液の検査で様々な情報が得られます。検査を受けて、適切な治療を行い、子宮環境を整えることが妊娠の鍵になります。
培養環境
詠田院長が取り組んできた、もうひとつの研究テーマが「培養環境」です。1989年から培養系のエンドトキシンを中心に研究を続けてきました。卵巣から採取した卵子を体内と限りなく同じ環境に近づけた体外で育てること、これが生殖医療を行う施設の責務であると考えています。
培養士の技術、培養室の設計、胚培養に使用する器具、胚を保存する培養液、培養器(インキュベーター)の温度や気相、このすべてが培養環境です。これらの培養環境を、常に一定の理想的な状態で持続することが、体外受精治療を成功に導く鍵になります。
思いやりある不妊治療のコンセプト
速やかに明確な原因を突き止める
「妊娠するまで、漫然と不妊治療を続ける」――、これではとても思いやりのある診療とは言えません。
不妊症の治療で一番大切なことは、「原因を早く見つけること」です。不妊症検査は、卵管造影検査のような特殊な婦人科検査を含むため、 抵抗のある方もいらっしゃると思いますが、早急に検査をして的確に不妊症の原因を見つけることが、妊娠への近道なのです。
不妊期間の長さや年齢は、治療の結果に影響を及ぼす大きな要因となります。 つまり、原因を速やかに的確に把握することこそが、身体的にも経済的にも、患者様の負担を減らすと考えています。
思いやりのある治療、それは「あなたの体をしっかりと診る治療」から始まります。
原因と最適な治療法を提案し、ともに臨む
原因や治療法は、それぞれのカップルで異なります。だからこそ、来院された患者様に早く系統的で的確な診断を行い、 ご夫妻の抱える不妊原因をきちんとお伝えし、最も適した治療法をご提案することで、皆様が安心して自分自身で納得のいく治療を選択していただきたいと思っています。
当クリニックでは、今どの治療が必要なのかを明確に伝え、その治療について十分に理解していただき、ともに治療に臨むことを目指しています。
麻酔科医による麻酔で、安全に「痛み」を取る
体外受精治療は、クローン技術をはじめ、目覚ましい発展を遂げている分野です。一方、この治療を受ける患者様への思いやりは置き去りにされてきた感があります。1999年4月の医院開業以来、身近に患者様を診て、採卵術の痛みだけでも取り除くことができれば、 少しでも治療への苦痛を和らげることができるのではないかと考えるようになりました。つまり、麻酔です。一方、「麻酔は怖い」という概念もありますが、経験ある麻酔医師のもとで受ける麻酔は、決して怖いものではありません。
当クリニックでは、幸いなことに2000年より、縁あって多くの麻酔経験を持つ守田道由医師のご協力のもと、体外受精などの高度生殖医療技術に麻酔を行っています。
安全な「痛み」からの解放も、私たちが目指す思いやりある不妊治療の大切なコンセプトです。