決め手になるのは運動精子数
『アイブイエフ詠田クリニック』では、長く男性不妊症専門クリニック『MRしょうクリニック』とタイアップして、多くの男性不妊症の患者様の治療に取り組んできました。
男性不妊症の診断名は?
男性不妊の検査には、精液検査、内分泌検査(血中のホルモン検査)、睾丸容量の検査、精索静脈瘤の有無を調べる超音波検査などがあります。WHOが定める精液所見の基準値から、次のような診断名がつきます。
乏精子症
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1600万個/mL未満
精子無力症(☆精巣静脈瘤)
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42%未満
奇形精子症
正常形態率4%未満
精液減少症
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精液量1.4mL未満
膿精子症
1mLに白血球が100万個以上
☆無精子症
射出精液中に精子がいない(精子形成不全、閉塞性無精子症)
※☆印は男性不妊専門クリニックでの手術療法を検討します。
当クリニックの治療方針は?
当クリニックでは、精液所見の運動精子数で治療方針を決定しています。
射出精液中の運動精子数と治療方針
- 10×106/ml以上
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人工授精(AIH)
排卵のタイミングをねらって、良好な運動精子を集めて、子宮の奥に直接カテーテルで注入し、受精を期待する治療方法。
- 5~10×106/ml
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体外受精(IVF)
採卵された卵子に、採精された良好な運動精子を振りかけて(媒精)、得られた受精卵(胚)を子宮内に移植して着床を期待する治療方法。
- 5×106/ml未満
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顕微授精(ICSI)
採卵された卵子1個に、採精された精子1個を注射針で注入して、得られた受精卵(胚)を子宮内に移植して着床を期待する治療方法。
- 無精子症
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精巣精子回収術・顕微授精(TESE-ICSI)
※TESEは連携の男性不妊専門クリニックで実施
人工授精(AIH)、体外受精(IVF)、顕微授精(ICSI)の違い
人工授精(AIH)
体外受精(IVF)
顕微授精(ICSI)
成績は?
男性不妊症でのART成績は、以下の通り(グラフ1)です。卵管が詰まっているなどの卵管因子があってARTを受けた症例と比較して、どの年齢層でも高い妊娠率となっています。
グラフ1:妻の年齢と適応別妊娠率(1回の採卵での妊娠)
TESE-ICSIの実績
無精子症(射出精液中に精子の見当たらない方)の患者様で精巣精子回収手術(TESE)が必要な方については、連携する男性不妊症専門クリニックと共に取り組んできました。
精巣精子による顕微授精法(TESE-ICSI)は、体外受精治療の中でも最も培養士の高度な技術を必要とする分野です。『MRしょうクリニック』で手術により取り出した精巣精子を凍結して『アイブイエフ詠田クリニック』に搬送し、その精子を用いて顕微授精を行っています。
当クリニックでは、学会の認定を受けた管理胚培養士1名と胚培養士2名が顕微授精(ICSI)に取り組んでいますが、射出精子による顕微授精の妊娠率と精巣精子による妊娠率には大きな差がありません。精子の状態が極めて悪い場合でも多くの患者様が妊娠し、卒業されています(グラフ2)。