年間妊娠成績の推移
このグラフからは、『アイブイエフ詠田クリニック』で妊娠された方の治療方法の推移がわかります。近年は、ART治療、ことに凍結融解胚移植での妊娠例が約7割を占めていますが、不妊検査の結果、可能性があると判断した方には、排卵誘発剤を用いたタイミング療法や人工授精(AIH)も実施しています。
2020年はコロナ感染症に留意し、第一次緊急事態宣言中の胚移植(凍結、新鮮)やAIH治療を中止していました。
ART治療周期数
『アイブイエフ詠田クリニック』で行われたART治療の大半を、凍結融解胚移植(Cryo ET)が占めているのがおわかりいただけると思います。顕微授精(ICSI)に比べ、体外受精(IVF)が極端に少なく見えるのは、当クリニックではIVFを行う場合でも、まずはsplit(スプリット/ご夫婦一組ひと組に最適な授精法を見極めるため、採卵で得られた卵子をIVF対象とICSI対象に分け、受精率や胚のグレードを検討する方法)を実施しているためなのです。
※TESE(精巣内精子回収術)と卵子凍結については、改めて説明いたします。
2020年はコロナ感染拡大による第一次緊急事態宣言に伴い、胚移植(凍結、新鮮)を中止しており、移植周期数が極めて少ない状況になっていました。
年齢別ART治療成績(採卵あたりの妊娠率)
※対照期間 2013年~2022年
※表は横スクロールできます。
ART手技 | 29歳以下の患者様の治療成績 | 30~34歳の患者様の治療成績 | ||||
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採卵周期数 | 胚移植周期数 | 胚移植妊娠率 | 採卵周期数 | 胚移植周期数 | 胚移植妊娠率 | |
IVF※ | 80 | 78 | 69.2% | 416 | 406 | 59.4% |
ICSI※ | 93 | 89 | 65.2% | 552 | 89 | 59.3% |
IVF/ICSI(split)※ | 162 | 160 | 84.4% | 695 | 683 | 73.8% |
TESE-ICSI※ | 26 | 25 | 60.0% | 78 | 75 | 60.0% |
凍結未受精卵子ICSI※※ | 1 | 1 | 100% | - | - | - |
卵子凍結※※ | 8 | - | - | 1 | - | - |
卵子回収無 | 4 | - | - | 34 | - | - |
総 計 | 374 | 354 | 74.3% | 1776 | 1690 | 65.2% |
※表は横スクロールできます。
ART手技 | 35~39歳の患者様の治療成績 | 40歳以上の患者様の治療成績 | ||||
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採卵周期数 | 胚移植周期数 | 胚移植妊娠率 | 採卵周期数 | 胚移植周期数 | 胚移植妊娠率 | |
IVF※ | 765 | 719 | 47.6% | 631 | 569 | 25.8% |
ICSI※ | 1504 | 1401 | 41.1% | 1798 | 1587 | 20.1% |
IVF/ICSI(split)※ | 1104 | 1078 | 66.5% | 456 | 444 | 41.4% |
TESE-ICSI※ | 70 | 66 | 53.0% | 26 | 28 | 21.4% |
凍結未受精卵子ICSI※※ | - | - | - | - | - | - |
卵子凍結※※ | 2 | - | - | 3 | - | - |
卵子回収無 | 123 | - | - | 279 | - | - |
総 計 | 3568 | 3265 | 51.1% | 3196 | 2629 | 25.0% |
- ※IVF:体外受精、ICSI:顕微授精(射出精子)、IVF/ICSI (split):同時に両方の方法を施行、TESE-ICSI:睾丸回収精子による顕微授精
- ※※卵子凍結や凍結未受精卵子ICSIはがん生殖医療での妊孕性温存治療として行っています。
不妊治療後の妊娠転帰
※表は横スクロールできます。
2015年12月までに当院を卒業後、 状況がわかっている 妊娠患者様の妊娠転帰 |
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年代別妊娠転帰 | |||||
29歳以下 | 30~34歳 | 35~39歳 | 40歳以上 | ||
人数 | 567人 | 1700人 | 1849人 | 537人 | |
正期産(妊娠37~41週の出産) | 73.2% | 71.3% | 61.2% | 43.2% | |
早産(妊娠29週~36週) | 4.8% | 5.2% | 5.2% | 3.0% | |
早産(妊娠22週~28週) | 1.1% | 0.5% | 0.4% | 0.2% | |
後期流産(妊娠12週~21週) | 0.4% | 0.2% | 0.5% | 0.0% | |
流産(妊娠11週まで) | 17.3% | 19.9% | 30.1% | 50.1% | |
人工中絶 | 1.2% | 0.2% | 0.4% | 0.7% | |
子宮外妊娠 | 2.1% | 2.6% | 2.2% | 2.8% |
※対照期間 2000年~2015年
当クリニックの不妊治療後の妊娠転帰の特徴は、早産や子宮外妊娠の発生が極めて少ないことです。 着床障害や早産・子宮外妊娠の原因となる子宮因子を持つ患者様には個別に治療を行い、 その後ARTや人工授精など不妊治療を行っているためと考えられます。 不妊治療の最終終着点は元気な赤ちゃんを出産して、成人し、子供たちを社会に送り出すことであると考えています。
採卵回数別の妊娠率
※実施期間 2012年~2022年
こちらのグラフは、採卵回数別に見た累積妊娠率です。それぞれの採卵時に得られた受精卵を使い切るまでに、妊娠された方の割合を示したものです。『アイブイエフ詠田クリニック』の場合には、わずか1回の採卵で、70%の方が妊娠に至っていることがおわかりいただけると思います。
TESE-ICSI(精巣精子を用いた顕微授精)の妻の年齢別治療成績
※実施期間 2012年~2022年
射出精液中に精子が見られない無精子症の場合でも、連携する男性不妊専門クリニックでのTESE(精巣内精子回収術)で精子が得られた場合には、その精巣精子を用いた顕微授精(TESE-ICSI)によって、子どもを得られる可能性が残されています。このグラフは、奥様の年齢別にみたTESE-ICSIの妊娠率です。TESE-ICSIは、とくに高度な技術を要する難しい手技ですが、当クリニックの技術は高く、射精精子を用いたものと同等の妊娠成績が得られています。
年度別がん生殖相談数・治療数の推移
※実施期間 2008年~2020年
がん生殖とは、がんの治療を行う前に、卵子や卵巣組織、ご夫婦の胚(受精卵)などを凍結保存しておくことで、がん治療後の妊孕力を温存し、将来、子どもを得られる可能性を残す治療のことをいいます。『アイブイエフ詠田クリニック』は、がん生殖においても2008年から長期にわたって多くの実績を積んできました。中には、すでに当クリニックでお預かりしていた凍結融解卵子による顕微授精で、無事に赤ちゃんを妊娠・出産された方もおられます。
これからも、一組でも多くのご夫婦に切実な夢を叶えていただけるよう研鑽を積んで参ります。